第56話全然バカじゃない

セリーナは即座に頷いた。

そのフィギュアを再び目にした時の気持ちを、彼女は言葉にできなかった。まるで、過去の自分と真正面から向き合っているかのようだった――自由に空を舞うことを夢見ながらも、暗がりで息を潜めていたあの頃の少女と。彼女はどうしてもそれを取り戻したかった。

だが、彼女の瞳に希望の光が宿るのを見つめていたエイドリアンは、ゆっくりと彼女の手からフィギュアを奪い取り、棚に戻した。一瞬にして、その光は消え失せた。

エイドリアンはそれを見逃さなかった。計算し尽くされたような惜しむ響きを声に滲ませる。「滑稽だな。失って初めて、その価値に気づくとは」

その言葉は胸に突き刺さった。「私がデ...

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